「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「子供のための大和伝説」から
「泣き坂」


吉野郡迫川今井の近くに泣き坂という坂があります。
むかし、弘法大師が、高野山に水が少ないので、よい水を得たいと思って、天川村坪の内の弁財天社へお通いになりました。
それは、この坪の内の弁天さんは水晶の玉を持っていらしゃるので、それがあると、よい水を出すことができるので、何かとその水晶の玉を手に入れたいと思われたからでした。
しかし、弁天様はこの玉を大事にしておられれて、手離されることはありませんでした。そこでお大師さんは苦心してこの玉をぬすんで逃げ出されました。弁天さんは怒って追いかけられました。お大師さんはついに追いつめられてしまったので、ついに秘法を使って霧を吹いてそこへかくれました。弁天さんはそれでそこからむこうへ行くことが出来なくなり、泣く泣く引っ返されたといいます。
それで、そこを泣き坂というのだそうです。
なお、その引き返された所に立てられたという柞原(ほそはら)の弁天様の社殿は、いまでも高野山の方を向いています。
あの高野山の弘法大師め、わしの大事な玉をぬすみやがって、残念だ!!!と、弁天さんは今も弘法大師の方をむいていられるのだと言い伝えています。

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