「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「子供のための大和伝説」から
「篠原殿」

足利時代のこちょだといいますが、篠原という武士が吉野郡大塔村の篠原へやってきまをした。
村人は、おとなしい彼を篠原殿と呼んで尊敬していましたが、やがて傍若無人なふるまい、人を人とも思わなぬ悪いことをするようになりましたので、たまりかねた村人は、川相撲を催して彼を招待し、策略によって一挙に殺そうと考えました。そこで村人は篠原殿の見物席として木と竹を組んだ桟敷をつくり、止木をはずすと桟敷全体が一瞬にこわれるように仕組みました。
さて、川相撲の当日、篠原殿は桟敷の中で酒を飲んでいましたが、よいつぶれるのを待って、止木をはずしましたので、篠原殿は川の中へはまりこみ、川は血でまっ赤になりました。
絶体絶命になった篠原殿は、虫の息ながら、平素のことをわびたのち、
「村から川瀬峠に登る途中に、大きな岩の中に穴があります。その中に金の銚子と金の盃とをかくして、外から岩のふたをしてあります。そのふたにきざんだ字を読んだらふたが開くようになっていますから、この二品はそれを読み解いた人にあげます。」といって、息をひきとりました。
それ以来、村人はこの品を得ようと努力していますが、まだ見あたらないということです。
この村は、それまで川瀬といっていましたが、篠原殿以来、篠原といわれるようになりました。それでもいまだに元の川瀬といっている人もあります。

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