「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「子供のための大和伝説」から
「源十朗橋」

西吉野村和田の中ほどに、南の山腹から丹生川に流れる小川があり、そこに源十郎橋という石橋がかかっています。
むかし、この村の辻内家の先祖に、源十郎という強いえらい人がありました。生まれつき大力と豪快のような勇気のある人でした。
ある年(明和三年という)のお祭りの日に、村の若者が総出で、山腹にころがっている一枚石を運んできて、小川の橋にしようということになりました。
「こんな大きな石は、十人や二十人では動かぬだろう」
「四、五十人なければ、とても動くまい」
などといっているのを、源十郎は横あいから、
「やってみようじゃないか」
といいました。
どうしてやるのかと、みんな不思議に思っていましたが、源十郎は、
「二十人で一方をかついで、一方をわしひとりでかつぐ。そしたら動くだろう。」
といいました。
その通りにして石を綱で結び、太い杉の木を通し、石の前方を二十人の若者が、うしろは源十郎ひとりが肩をかけました。
二十人がかけ声と共にかつぎ上げると、同時に源十郎もひとりで一方をかついぎ上げました。
源十郎のかけ声で二十人は静々と歩いて、小川の上に石がきた時、それをおろして石橋としたといわれています。

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