「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「子供のための大和伝説」から
「五郎宗とユルギ岩」

大和と伊勢の境に立つ高見山に、国見岩という大きな岩があります。神武天皇が大和平定のはじめ、親しくハ方を望まれた所だといいます。
また、ユルギ岩といって、誰かがここへ持ってきて置いたかと思うような、不安定な岩があります。大きなものであるのに、ひとりの手でグラグラ動かせす。これにはこんな伝説があります。
むかし、ふもとの村に田中五郎宗という者がありました。生まれつき、力が弱くて、人にいじめられるのに憤慨し、高見山の神様に願をかけて、大力を授かろうと考え、まず第一日にはワラを一把って山に登り、二日目、三日目と順次にものをふやしてゆきつつ、八キロメートルの山道を、雨も風もいとわず日参しました。そしてついに大力を授かって、大いに喜び、一つ力試しにと、ふもとから大岩をさし上げて登ろうとしましたが、いまのユルギ岩のところまでくると、足が土にメリ込んで動けなくなりましたので、やむなく岩をそこへ置いて頂上に登り、参詣だけすまして下山しました。それがこのユルギ岩だといいます。
五郎宗は、のちに諸国を漫遊し、いたるところで大力を現わし、人を驚かしたそうです。
それで体のヅヌけて大きく、力強い者を、「五郎宗みたいなヤツ」といいます。
ある時、国中(くんなか)へ用があって出かけた時、大水で川の堤がこわれ、。村中の人がさわいでいました。その時五郎宗は、
「わたしも、一つ手伝わしてもらいましょう」
といいながら、太い杭を手にとって、スラスラと土の中へ押しこんだという話もあります。

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