「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「子供のための大和伝説」から
「蟻通明神」

吉野郡東吉野村の小村というところに、丹生川上神社の中社があります。もとの名を蟻通明神といって、こんな伝説があります。
むかし、曲がりくねった細い穴いのある七つの王を造って、これにひもを通してくれと申しこんできました。
わが国では、いろいろ相談しましたが、よい知恵が出ません。この時、何々の中将という人が考えて、穴の一方に蜜をつけ、他の一方から糸を結びつけた蟻を入れますと、蟻は蜜の香にさそわれて、玉の中を通りぬけました。その糸にさらにひもをつけて、反対に引きますと、うまくひもを通すことができました。
外国では、また使いをつかわし、本も末も同じ太さの大木を持ってきて、その本末を見分けてくれと申しこんできました。
中将はまた考えて、その木を川に流して見て川下になった方が本だと返事させてました。外国では、日本にも知恵者がいると知って、ついにせめて来なかったということです。この中将をおしてしまったのが、この蟻通明神であるということであります。
いまは丹生川上中社といい、美しいためとも百合が咲いてきれいです。


桜井市の穴師から少しのぼったところにも、蟻通しの宮というのがあって、これと同じような伝説が残っています。
これらは蟻通し伝説といって、蟻通しというおもしろい名から考え出された伝説です。
しかし、実際は、難所に穴を掘って通すとか、鉱物を掘るために穴を掘るとかいうところにまつられた神さんが、蟻通し明神ではないかと考えています。

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