「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「子供のための大和伝説」から
「端嶺和尚の雨乞い」(たんれいおしょうのあまごい)

むかし 下市町の西来寺の住職であった端嶺和尚は、徳のすぐれた高僧でした。
ある年、ひどい日でりが続きましたので、百姓の人々は端嶺和尚の雨乞いをしてくださいと頼みました。
和尚は百姓の人々を従え、からかさと硯を持って、堀毛の降剣神社へ参り、しばらくお経をあげていましたが、
「この土地は歴史が若い」
といって、むかしから、古い神仏をまつったところには、必ず蛇が住んでいますので、お経をあげて雨乞をしますと、その蛇が竜となって昇天し、雨を降らすと考えていたからです。
お地蔵さんにお経をあげていられた和尚は、やがて自分の着いている衣の上から、硯の墨をベタベタと塗りはじめました。そして和尚がだまって衣のすそをめくると、体には一匹の白て蛇が巻ついていました。それが墨に染まって黒くなり、やがて天へ昇ってゆきました。
和尚は、
「これでよし」
といって、ふしぎに思っている百姓の人たちをせきたてて、峠を下りはじめましたが、一同が麓へ下りきらぬうちに、からかさが破れんばかり大雨が降ってきたといいます。

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