「うのん」の気象歳時記ブログ

薬師寺近くの小さな本のある喫茶店

薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「子供のための大和伝説」から
「油かけ地蔵」

近鉄平端駅より西南二キロ、板東という里から結崎の方へ行く野道の川西村南吐田と北吐田の境界の四つ辻に、西向きに石のお地蔵さんが立っておられます。
油掛け地蔵といわれて、クサをなおす地蔵さん」として、近所の人から信仰されています。
二百年ほど前、泥田の中にうずもれていたのを、村の人が見つけて、気の毒に思い、引きあげてここへおまつりしたのでした。
ところが、ある人が、地蔵さんがあまりよごれて見苦しいので、水をかけ、タワシでゴシゴシと洗って泥を落とし、きれいにしました。
「ああ、きれいになった。これでお地蔵さんもおよろこびでしょう」
とその人は家へ帰りました。家の人がいろいろ原因を考えると、その日、地蔵さんの体を洗ったということです。それでは、地蔵さんがそれをお怒りになったのだ、さっそく元通りにしなければならんと思い、せっかく洗った地蔵さんの体へまた泥をかけたり、油をあびせたりして、元通りのきたない地蔵さんにしました。
すると、今まで腹痛で苦しんでいた病人が、ケロリとなおってしまいました。
その後クサができて困っている子のお母さんが、このきたない地蔵さんにお祈りして、油をお地蔵さんにかけていますと、ついに子供のクサもなおってしまいました。それからこの地蔵さんは、クサを治す地蔵さまとして、今でも頭から油をかけられて、きたない姿で立っておられます。


この地蔵さんは大永三年に造られた地蔵さんで、今から四百五十年前のものです。

×

非ログインユーザーとして返信する