「うのん」の気象歳時記ブログ

薬師寺近くの小さな本のある喫茶店

薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

少しブログ休みました。また今日からです。
今日からは 当店で所蔵している 本の中から奈良 吉野の民話を紹介します。
その前に、

昨日の大池(勝間田池)からの眺めです。薬師寺双塔 その間に東大寺大仏殿 さらに微かに興福寺の五重の塔 も見るコトが出来ます。

少々古い本ですが 充実した内容です。

私の個人的な桜の標準木です。大池の向かえです。もう満開です。


「吉野の民話」から
「キツネにだまされた魚屋さん」
今から七十年ぐらい前の話です。行商の魚屋さんが、魚を荷車につんで、なだらかな坂を登っていました。途中、不動坂というたいへん急な坂にさしかかりましたので、そこに荷車をとめてひと休みしました。
そこへ、見知らぬ人があらわれて、
「おっちゃん、もし、よかったら、もし、よかったら、その魚売ってもらえまへんか。」
と言いました。魚屋さんは喜んで、
「どこで商売しても同じですさかい、どうぞ買うとくんなはれ。」
といって、いろいろと魚を取り出しました。見知らぬ人は、
「それもこれも。」
と言っていましたが、魚が残り少ないのを見て、
「全部もろとくわな。」
と言って、荷車の魚を丸ごと買っていきました。魚屋さんは、よく買ってもらったと、ありがたがってお金の勘定を始めました。
しばらくして、魚屋さんの知り合いが、不動坂を登ってきて言いました。
「おっちゃん、何しとんの。」
「いや、今しがた魚がたくさん売れたさかい、お金を勘定しとんね。」
と魚屋さんが答えると、知り合いは笑って言いました。
「キツネにだまされてんねんわ。そんなんしとったらあかんで。」
「いや、キツネなんかにだまされとらへん。これはお金や。見てみいさ。」
と、魚屋さんが言いはると、知り合いは、魚屋さんの肩をポンッとたたきました。すると、魚屋さんはハッと気がついて、正気に戻りました。
魚屋さんが、お金だと思って勘定していたものは、たくさんの木の葉っぱでした。魚はぜんぶキツネに取られてしまったということです。

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