「うのん」の気象歳時記ブログ

薬師寺近くの小さな本のある喫茶店

薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「川上村昔ばなし」から
「大迫のはなし」
大迫の子とまんじゅう
子どものころ、学校は柏木まで、通ってましてな。
よう、腹減らしましたわ。なんせ、一人、くせの悪い子がおって、柏木の店で、まんじゅうやら買わんと、しまいに、借りっぱなしで、親が払ろうたようなことでしたわ。
むかしは、節季にしか、賃金もらえへんだよって、払うのも、そんなことでした。
その子は、えろう、おこられとったなあ。
東熊野の本街道に近いよって、りんつ(ちりんちりんと音のするもの)が、よう聞こえてきましたわ。
わしら、子どもの時分、学校から帰ったら、りんつがするもんで、急いで茶びんに茶いれて、ほて湯のみ、三つ四つ持ていて、茶売りに行いってなあ。五銭、十銭と金くれますねんや。夏、冷えたのを持っていたら、行者さんら、喜んでな、子どものこずかいでして、それを楽しみに、日曜日は、大勢下ってくるので、せわしいせわしい。じっとしてる間あれへんでした。
あの時分になあ、柏木の朝日館や、ホテルゆうて、百人から百五十人泊まってました。
今はもう、リンの音もせへんけど。

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