「うのん」の気象歳時記ブログ

薬師寺近くの小さな本のある喫茶店

薬師寺近くの「うのん」から大和気象歳時記 ヘビ女房

ヘビ女房 嫁取橋  大和郡山市
むかし筒井に一軒の茶屋があってん。その茶屋にコマノっていう気の強い生娘がいやってんと。そこを通って、父の病気祈願に毎月1回、信貴山へはだし参りしてやった布留(ふる)の若いもんにほれやってん。
ほてなー。ある日、夕方おそく若いもんが通りやってんでな、娘はんは、今から行ったら信貴山では日がくれるちゅうて、無理に茶屋に泊めやったんのや。
ほてなー、夜がふけたころ、おもろいふうして、若もんが寝ているとこへ娘さんが、しのんで行きやってんがー。ほたらなー、若もんは布留の明神さんに、 「三年間は堅く身を守ります。」って紀請文を書いてあってんと。そいで、
「かんにんして」
ちゅうて、茶屋から東に向かって逃げださってんが。ほたら、髪ふりみだした娘はんは一目散に若もんを追っかけていきおやってん。
逃げてきやった若もんは、ちょうど八条の宮さんあたりにあった渕の横の松の木によじ登ったところ、松は一夜のうちに大木になって、若もんをかくしやってんと。
ちょうど月の光で若もんの影が渕の水面にうつったもんやから、女は、
「さては!」
と、水の中へ、
「ドブン‼」
と音たてて飛びこまってん。ほてな、そのまま死んでしまやってんが。うらんで死にやったもんやから、大蛇に化けやってな、嫁入る娘さんさえ見れば、恋人を取られるんじゃないかと、引っぱり呑み殺しよってんと。
そいで殿さんは、嫁取りの大蛇を退治しようと、付近の村々へ命じやったところ、八条の庄屋さんが、大蛇退治のクジに当たりやった。
ところが、八条の庄屋さんと乳兄弟で大きゅうなろった子ぎつねが、
「今こそ、育ててもろた御返しの時や」
いうて、夜中に京のお公卿さんの大行列を仕立てて、布留の宮へくりこんでな。
「禁庭さまの ご用だ」
いうて、布留の宮はんで一番たいせつな神劔(かみのつるぎ)を盗み出しよった。そいでめでとう嫁取り大蛇を退治しやってんと。あとで、布留の宮はんへ無事に返さはった神劔は、いつの間にやら小狐丸いうて寳剱になったし、コマノの墓ちゅうのが佐保川にかかっている嫁取橋の付近にのこったんねと。

外部資料


■住所 630-8053奈良県奈良市七条1丁目11-14
■℡  0742-43-8152

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