「うのん」の気象歳時記ブログ

薬師寺近くの小さな本のある喫茶店

薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記 屁こきばあ

屁こきばあ 北葛城郡 のお話
むかし むかし あるところーに、おじいさんと おばさんとすんでやってなー。おじいさんは、毎日山へ仕事にいってらたんたんやけど、しょんべんしようとなって、ほんだら、スズメが飛んできよって。おじいさんは、そのスズメをすばやくつかまえてきやはって、
「ばあさんや、スズメとってきたよって、こんどかえるまで、スズメ汁たいとんてんか」
そういゆて、また山へ仕事にゆかはってんとー。
おばあさんは、さっそくスズメ汁をたかはってんけど、ええにおいするし、うまそうやし、もうえいやろうか思うて、かげんみしてみやってんとー。
「一パイスーヤ、ウーマイシー。二ハイスーヤ、ウマイシー。アンマリウマイノデ、ミナ、スーテシモウタロー」
そういうて吸うてやったら、スズメ汁がのうなってしもうて、鍋がからっぽになってしもうてんがなー。
「えらいこちゃや、あんまりうまうて、みな吸うてしもうたがなー。おじいさん帰って来たら、どないしょ」
というて、おばあさんが心配そうになってやったとき、おばあさんの尻から、おもろい屁が出よってなー。
「シュシュ―ガラガラ、シュシュンポン、シュシュ―ガラガラ、シュシュシュポン」
なんぼでもなんぼでも、屁がでて君がなー。おばあさんが、どうしたものかと思うってたら、おじいさんが帰ってきやはってなー。
「ばあさんや、スズメ汁たいといてくれたか」
そういうて、台所の方へいかはったら、カマドの鍋は、からっぽでおばさんが、
「スズメ汁たいたんやけど、かげんみてたら、あんまりうまいので、一パイスーやうまいし、二ハイスーやうまいし、あんまりうまいので、みなスーてしもうた」
おじいさんは
「せっかくたのしんで帰ってきたのに」
そういうて、勢おとしたら、
「シュシューガラガラ、シュシュポン、シュシュ―ガラガラ、シュシュンポン」
と、おばあさんが、みょな屁、こかはって、おじいさんは、びっくりしやはってなあ。
「もっとこいてみー。みょうな屁やなー。こんな屁、きいたこともないがなー」
おじいさんが、不思議がっていたら、だんだんうわさが広がって、とうとうお殿様の耳にはいってなー。おばあさんが、よばれていかはってんがー。
「みょうな屁こき婆はお前か、その不思議な屁を、こいて見よ。」
お殿様にそういわれて、おばあさんは、
「シュシュ―ガラガラ、シュシュンポン、シュシューガラガラ、シュシュンポン」
と、こわごわ屁をこかはったら、お殿様は、
「これは面白い、もっとこいてみー」
そうおっしゃて、たんとたんとほうびをくださってなー。おばあさんは、喜んで帰ってきやはってんがー。


心配して家で留守番していたおじいさんも、大そう喜ばはったんやとー。
となりのおじいさんと、おばあさんが、このこときいて、
「わしらも、なんとかして、屁をこいて、ほうびをもろて、やったろー」
そう思うて、二人で相談したすえ、おばあさんが、たらいに一パイ水くんで、そこへ尻をつけて、一日中じっとしてはってんとー。そいだら
「ピリピリ、ピリピリ」
と屁がでてきたんで、
「これやこれや。よーし、これでいてこー」
そう思うて、さっそくお殿様のところへ、でかけていかはってんとー。
「お殿さん、わしも面白い屁を、こきますんで、どうかきいて下され。」
おばさんが、そういうので、お殿さんは、
「そんなら、ここでこいてみいー」
そういわはったんで、おばあさんが、こいでみやったら、
「ビリビリビリビリ、ブチュー」
と、けったいな屁こいて、しまいに、ちびってしまわってんとー。
ほいでお殿さんは、おこって、
「こら、わしの前で、無礼なババアメ、これはにでもの」
大変はらをたてられ、ほうびどころか、にせのおばさんの尻に罰をあたえはてんとー。
よくばりばあさんは、
「シリが痛い 腹がタツ、シリが痛い 腹がタツ」
そういうて、泣き泣きかえってきやてんとー。

■住所 630-8053奈良県奈良市七条1丁目11-14
■℡  0742-43-8152

×

非ログインユーザーとして返信する