「うのん」の気象歳時記ブログ

薬師寺近くの小さな本のある喫茶店

薬師寺近くの「うのん」から大和気象歳時記 洞川のめくら蛇

洞川温泉郷は大峰山から発した熊野川の源流ともなっている山上川のほとり
洞川温泉は、修験道の盛隆とともに大峰信仰の登山基地として栄えた。
開かれた縁側は一度に山伏が旅館にあがれるようにしたもの。


洞川のめくら蛇 吉野郡のお話
むかし、吉野の洞川にひとりの山男が住んどった。女子をつれて帰って、そいで夫婦になってな、子どもできよった。女子は山男に、
「山から帰った時にゃ、必ず表から〈帰った〉と声をかけてくな」
っていうので、男はいつもそのようにしとったんやろが、ある日、
「なんで、あんなこといおんねやろ」
というて、なんにもいわずに家の中へ入ってみやってんと。ほたら、女子は部屋いっぱいにどくろを巻いた白蛇やってんが。
女子は見られたことを知ったもんやさかい、男に、
「いとまくれ」
といやってん。ほたら、男は
「お前にいとま出したら、この児をそだてられんよって、いとまようやらん」
そういうたら、女子は、
「どうでも、いとまくれ、児は育つようにしたるよって」
そういうて、自分の眼の片いっぽうをくり抜きやがって、
「これ、ねぶっとけっ」
というて出ていかってんと。
児は、それをなめずって大きうならってんけど、なめちゃある間に、だんだん小さくなってしもうて、とうとう消えてしもうてんが。ほたら、どこからか、母さんの白蛇がでてきやってな、残ってたもう一つの目玉をくり抜いて児にやらってんと。
そいで、二つとも目玉をやらったもんやさかい、とうとうめくらになってしもうたんや。そいで、昼と夜の区わけがつかんようになってしもうたんでな。
「これから朝は三つ、晩は六つ、鐘を鳴らしてくれんか」
そいいうて男のところへたのみにきやってんと。そいで、山男は一生懸命にはたらいて、とうとう、池のほとろに寺を建てやって、竜泉寺ちゅう名前つけて、境内に白蛇のために竜王堂もたててやらってんが、そいで、今でも朝に三つ、晩に六つ、鐘がなってんねと。

外部資料

■住所 630-8053奈良県奈良市七条1丁目11-14
■℡  0742-43-8152

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