「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くの「うのん」から大和気象歳時記 桜井市のお話

鶴の塔
むかし、栗原谷の六本ちゅうところに、浦西いう家があってん。そこの主人が、ある日、東の空を見てやったら、病にかかった一羽の鶴が、よなよなと舞い下りてきよってん。
ほいで、主人はかわいそうに思はって、家のものどもといっしょに、親切に世話してやらったおかげで、鶴はしばらくの間にすっかり元気になって、もとどおりに治ってな、うれしそうに西の方へ飛んでいっこてん。



ほたら、その後、この家の上を、前に助けてやった鶴が、何回も何回も飛び回って、一巻の曼荼羅を落としていきよってんと。それを開けてみやったら、美しい鶴の羽根で織った綾錦やってんがー。家の人々は、
「あの鶴が、自分の毛を抜いて、つくりよってんやろう」
そういうて、鶴の供養のために十三の塔を、鶴が飛んで行った西の空がようく見える丘の方へ建ててやらってんと。
そいで、今でもこの塔を「鶴の塔」っていうんてんね。

外部資料
〈鶴の塔は今は栗原寺境内にうつされている 鎌倉時代後期〉

■住所 630-8053奈良県奈良市七条1丁目11-14
■℡  0742-43-8152

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