「うのん」の気象歳時記ブログ

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興福寺 南円堂

奈良猿沢池の左側の石段をのぼると八角の堂がある。南円堂でその北側に北円堂がならんである。
この堂は藤原冬嗣が弘仁四年(813)藤原氏の北家の隆盛祈願のために創建された堂で、本尊を不空羂索観音菩薩とし、多聞天 愛染明王などを安置している。
不空羅索観音といえば仏名に示されている通り、多くの人々を大悲の羅索でもれなく救済されると観音観音まで、三目八 手には剣や羂索を持っている堂々たる坐像である。
藤原冬嗣がこの堂を創建した際、春日大明神も協力されたという伝承があり、本尊の不空羅索観音は春日神社の本地ほともいわれている。
堂前に藤の巨木があるが、冬嗣が創建の際、京都の紫殿にならない、右近の橘、左近の櫻に対し、橘と藤を植えたとも伝えられているが、現在も両樹とも保存され、とくに藤は藤原氏ゆかりの樹木として大切にされたようで、藤の木の絶える事を心配し、江戸時代(寛文年間1661~1672)に水野石見守源忠貞が植えたと刻銘の石碑がある。
植つきて幾世かわらじ藤の花 碧斉

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