「うのん」の気象歳時記ブログ

薬師寺近くの小さな本のある喫茶店

薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「子供のための大和伝説」から
「しんぐりまくり」

山辺郡山添村に助命(じょみょう)という村があります。むかし、善明寺というお寺があったので、ぜんみょうといったのだろうが、後に助命という字を書くことになりました。
この村のお宮さんは、八王子神社」といって、百メートルばかりもある高い石段があり、下からお社を見上げると、森がこんもりとしげっていて、なかなか神々しいお宮さんです。
この石段には、時おり、夕方になると、「しんぐりまくり」というあやしい者がきて、しんぐりをころばすことがあるといって、おそれられています。
しんぐり とは、竹であんで魚を入れるもので、まくる というのは、高いところから、物をころばして落とすことです。
そのしんぐりまくりの中には、いたずら小僧が入れられているのだというのです。こんなしんぐりに入れられて、高い石段からころばされると、どんなになってしまうか、わかりきったことです。それで、この地方では、子供がいたずらをすると、
「そら、また、そいんぐりまくりがやってくるぞ」といって、おどかしますから、子供はおとなしくなるということです。


また、この近くに小原という所があり、今は宇陀郡室生村になっていますが、むかしの伊勢街道に面して、右側に崖があり、ココを「しんぐりまくり」と呼んでいます。ここで、むかし子供がしんぐりに入れられて、谷底へまくられたのだと、いい伝えているのです。

×

非ログインユーザーとして返信する