「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「子供のための大和伝説」から
「業平道(なりひらみち)と姿見の井戸」

天理市櫟本町(いちのもとちょう)の在原(ありわら)は、西名阪道路と、新しい南北の県道の交差する西南方の地です。
今は、そこにささやかな在原神社が残っているだけですが、むかしはここに立派な在原寺があり、もとは在原行平(あるはらゆきひら)や在原業平(ゆきひらなりひら)など、在原氏の氏寺でした。
平安時代に在原業平という歌人がありました。平城天皇の孫に当たり、有名な美男子だったということです。
若い時はこの在原の住んでいて、河内(大阪府)の高安にいる女の人の所へ通ったという業平道が千年後の今もなお、きれぎれであるが細々と残っています。これはむかしの大和と河内を東西に結ぶ大切な古い道だったのです。
在原から1㌔西へ行くと、むかし、聖徳太子が橘寺から法隆寺の方へ通われたという橘街道と、この業平道が交差する所があり、そこは大和群山大字新庄の鉾立という所ですが、その交差点の東南のすみに、業平姿見の井という古い井戸があります。
河内通いの業平はそこで自分の姿をうつしたといい伝えています。
今はここに蕪村の句碑が建っています。
「虫鳴くや河内通いの小提灯」
これは江戸時代の俳人谷口蕪村が、業平道のことをよんだものです。
この業平道は法隆寺の前を通り、竜田川をわたり、十三峠を越えて河内へ入るのですが、法隆寺の前の並松の北端にも、業平姿見の井があります。ここでも業平が姿をうつしていかれたといい伝えています。

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