「うのん」の気象歳時記ブログ

薬師寺近くの小さな本のある喫茶店

薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「子供のための大和伝説」から
「櫟(いちい)の木と天狗」

むかし、天理市櫟本(いちのもと)の西にいちの大木がありました。この木の上に天狗が住んでいて、いっちんの実を投げて人を苦しめました。また近所のにわとりや、果物をとってあばれ、はては毎年ひとりずつ娘を人身御供(ひとみごく)に出せとまでいいました。
覚弘坊(かくこうぼう)というえらい坊さんが中国から帰ってきて、この天狗退治をもくろみました。ある日、覚弘坊が、
「もしもし天狗さん、シナからいいものをみやげに持って帰ったよ」
と木の下から呼び、衣の中から目がねを取り出して、
「これをかけると、大和国中すっかり透して見えるんだ」
と誘い出しました。そして目がねと櫟の木と交換する約束をしました。
坊さんはのこぎりで木を切りました。木は西を向いて倒れ、天狗は米谷山(まいたにやま)の方へ去ってしまいました。
櫟の根元を櫟本村、一の枝の指した方向を櫟枝村 横のところを横田村、枝を積んだところを千束村と名づけたといいます。


こういう伝説を地名伝説といいます。こんな村の名の出来たもとは、もっとも違ったものかもしれませんが、むかしの人は、そのわけがわかりませんので、それに疑問を持ち、それの解決談として、こんな話ができたものです。

×

非ログインユーザーとして返信する