「うのん」の気象歳時記ブログ

薬師寺近くの小さな本のある喫茶店

奈良公園の鹿

奈良公園の光景には鹿があちらこちらにいる。
鹿は世界中どこにでも棲息していたようで、狩人にとっては獲物として最良といわたほどで、鎌倉時代、富士の裾野でおこなわれた有名な狩りも、相手は鹿であった。
しかし、これとは別に白鹿は神の依代として崇敬された。年末にやってくるサンタクロースもカモシカに乗ってくるように、古くからインドではわが国にも伝わり、奈良時代に藤原不比等が鹿嶋から武甕槌命を奈良に勧請した際、命は白鹿に乗ってこられたという伝承を今に残しており、奈良ではそれ以来、鹿を春日の神の依代としてあがめ、この鹿に出会うとまことに目出度いと称し、乗物からおりて神鹿を拝したという古文書があり、鹿の背に榊木をたてそこに鏡をかけた絵を春日鹿曼荼羅として床にかけ、これを拝する風習も今にのこり、奈良の鹿は神鹿として取り扱われてきた。
鎌倉時代に元軍を博多の沖で撃沈させた北条時宗も、神鹿の保護に細心の注意をはらったようで、建治年間(1275~77)の禁制のなかに「神鹿を殺害したものは死刑に取り行なう」と述べている。しかし、織田信長はこの神鹿をとらえている。「多聞院日記」の天正3年(1575)十月二十日の条に
 「信長在京神鹿生取一匹取り上事、去年モ一匹事、前代未聞ノ事浅猿々々」
とある。自分の威信を示すためであったのであろう。豊臣秀吉も天正19年(1591)に9頭の鹿を生け取ったが、西国から15頭の鹿を取り寄せ大宮殿に放っている。
徳川幕府は永禄10年(1567)「「神鹿殺害 山木伐用」の禁制を出し、神鹿の保護に努める一方 鹿守をおき野犬 蓄犬の徘徊を取締、奈良町の入口には木戸を設けて町外への進出を防いでいる。


本のある喫茶店 うのん
■住所630-8053奈良県奈良市七条1丁目11-14
■℡:0742-43-8152
■✉:honcafeunon.nara.nisinokyo@gmail.com
■https://sites.google.com/

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