「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

明日から三度目の緊急事態宣言 日々行動が難しい時間に ご覧頂ければ幸いです。
「てんりのむかしばなし」から
「かみなりごろ吉」

むかし、むかし、或る晴れた日に雷の子ども達が曇の上で、竹とんぼを飛ばして楽しく遊んで遊んでいました。雷の子ども達は、父親から人間の子は竹馬というのに竹馬というのに乗って遊ぶことを聞いて、曇の上から下界をのぞいて見ました。曇から落ちないように、うしろをつかんで、かわりばんこに下界をぞいていているうちに、曇からあまり身をのり出して下をのぞいたので、とうとう地上へ落ちてしまいました。
天から落ちてしまった雷の子どもは、天王神社の〆縄にひっかり、宙ぶらりになり苦しんでいました。もがけばもがく程、からみついて〆縄はきつくしまっていきます。「助けて、助けて・・・・」声も次第にとぎれになりました。
そこへ芦原城の殿様が大勢の家来を連れて通りかかり、「あれなる声の主は何者であるか」と、供にきかれました。「見た事のない姿をしています。危険ですから近寄らない方がよろしいかと存じます。」
「なるほど不思議なかっこうをしているから助けてやろう。見捨てるわけにゆかぬ」と、家来に命じ、〆縄を解いて助けてやりました。「お前は一体何者だ」「は、はい、雷の子、ゴロ吉といいます。この村の上の雲の仲に住んでるんです」「ああ、雷の子どもか。雷の姿を見たのは初めてじゃ」「雷の子どもは助けてもらって、何ども両手をついてお礼を言いました。」
長い間もがいて疲れがひどいので、お城へ連れて帰りおやつを与え、休ませてやりました。
一方、曇の上では上を下への大騒ぎ。一策を講じ、大きな雷の音を出して地上の者をこわがらせて、子どもを助けようと、雷の父親が大雷光と共に地上へおりました。お城の門前で、「子どもを返してくれないと、この村を雷攻めにするぞ」と、どなりました。

殿様は「お前も子どもが可愛いのか。へそを取られた人間の子の親の気持もわかるだろう」「いや、へそはわしらの大好物だ」「何と大好物じゃと。へそを取られた女の子は嫁にも行けず、どんな思いをしているかよく考えてみるがよい。二度とこの村へはへそを取りにこない事を約束するならば、子どもを返そう」は、はい、わしも子の親、固く固く約束を守ります」奥で寝かせてあったゴロ吉の手をとり、雷の親子は喜んで雲の上へ帰りました。殿様との約束を守り、それ以来、雷が落ちなくなりました。「雷の落ちない村」これは今の天理市吉原町に伝わる話です。

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