「うのん」の気象歳時記ブログ

薬師寺近くの小さな本のある喫茶店

薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

日々コロナの感染者が増え厳しい状況が伝えられています。
そんな時 当店で所蔵のむかし話でひと息していただいたら幸いです
「てんりのむかしばなし」から
「天武帝の笏指池」

今から約千三百年ほど昔、天武天皇が伊勢神宮にお参りのために福住を通って行かれました。峠を越えて、なだらかな道をしばらく行くと、山すところにいだかれて清らかな水をなみなみとたたえた美しい池が目の前に広がっているではありませんか。
天皇さなは、おもわず笏をもって池をおさしになり、「何と美しい水じゃ」と、しばらく感じいたれたようすでした。さっそくおともの者が清らかな水をくんで天皇にさしあげました。
こうしたことから、この池を笏指池といい、池の在る所を皇奉下(福住町南田字コホシタ・・・コホンダ)と呼ぶことになったそうです。村人たちの間では、シャクシャクと呼び伝えられています。

その後、池は堤を残して五分の一ほどに小さくなり、一面に水草がおいしげって、見るかげなくなりました。また、泥が深まって底なし池とも言われ、ここにはまると奈良の猿沢池に出るという話です。
天皇の通られた道も、いまではきれぎれになって、お百姓のほかは通る人もないありさまですが、昔は池のほとりで、花火の打ちあげもあったそうです。

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