「うのん」の気象歳時記ブログ

薬師寺近くの小さな本のある喫茶店

薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「五條のむかし話」から
「片身のじぞうさん」
むかしむかし 大深の村はずれにお地ぞうさんをお祭りしてありました。このお地ぞうさんは村人たちのねがいを何でも聞きとどけてくれるので、村の人たちのお参りしない日はありませんでした。
ところがある日の夕暮れ、人そうの悪い一人の武士が通りかかりました。お地ぞうさんは、すぐさま白坊主にばけてその場に立ちましたが、これをいちはやく知った武士はカンカンに怒り、
「この おちゃくな 地ぞうめ 思い知れ」と言うが早いか持っていた刀で地ぞうさんの頭を 真二つに切りすててしまいました。
いきおい余って地ぞうさんの左半分は紀見峠の方へ飛んで行ってしまいました。あとには変り果てたお地ぞうさんの右半分だけがころがっていました。
これを見た村人たちは、
「ああ おいしい、おしかったわぁ」
と、残念がり、「おしがたわ」の地に手あつくお祭りしました。
片身のおじぞうさんになっても、村の人たちは願をかたりしましたが、いつもよく聞きとどけてくれたので、今までいじょうにお地ぞうさんを信仰するようになりました。
今の「おしがたわ」の地名は、お地ぞうさんが災難にあったとき「おいしかったわ」といったことから、つけられた名まえであると言われています。

×

非ログインユーザーとして返信する