「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「五條のむかし話」から
「音無川」
栄山寺のあたりは、とても景色がいいところです。お寺の前の水かさも多く、青くよどんで流れているあたりを、もう一つの名まえで音無川と呼ばれています。なぜそう呼ばれるようになったのでしょう。
むかし、弘法大師が諸国をまわって、栄山寺へも来られたときのことです。そのころの栄山寺は、今のような建物だけでなく、大きなお寺がたくさん並んでいるりっぱなお寺でした。お大師さまは、その中の一つの寺に入って、修行をなさることになりました。
朝早くから夜おそくまで、お堂にすわって考えごとをしておられると、目の下に吉野川が、たくさんの水をたたえて流れて生きます。
「ザアザア」と昼も夜も音をたてて流れているので、やかましくて仕方がありません。考えようとしても、うまく考えをまとめることができません。困りはてたお大師様は、流れる水に向かって、
「音を立てないでくれ」
と、大きな声で言われました。
すると、あんなに「ザア、ザア、ザア」
と、音を立てていた水の音が、ぱったりとやんで、すこしも音がしなくなりました。
それから、このあたりの川の名まえが音無川と呼ばれるようになったということです。
みなさんも栄山寺へ遊びに行ったら川の音に耳をすましてごらんなさい。

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