「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「子供のための大和伝説」から
「長谷寺の未来鐘」

桜井市初瀬町の山門をぬけて、長い回廊をのぼりつめたところで、頭の上をあおうぐと、大きな 鐘がかかっています。外から見ると、ここは鐘楼になっていて、尾上の鐘という鐘がぶらさがっているのです。この鐘を未来鐘ともいわれて有名なのですが、それにはこんな伝説が伝わっています。
むかし、奈良の北にあたる山城国(京都府)の木津の里に、ひとりの貧しい人がありました。名は野慈(やじ)とよび、家は貧しい信心深く、長谷寺の観音さんに月まいりをしていました。
ある時、宿坊の慈願(じがん)という坊さんに、この寺の鐘楼の小さいことを話して、
「わたしの願いが成就しますと、鐘を一つ奉納したいと思います。」
といいました。聞いていた人々は、
「なあんだ、未来のことか。今、奉納するのかと思うと、お前の願いが成就してからのことか」
といって笑いました。
それから、この男はみんなから、未来男とよばれていました。
ところが、その後、観音さまの御利益によって、この男は近江の国の国司代(くにしだい)という役にまで出世し、栗田助貞(くりたすけさだ)と改名し、鐘を奉納して供養を営ん」だということです。
それで、世の人は、この鐘を未来鐘よよび、未来男と笑われていた人に感心したということです。

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