「うのん」の気象歳時記ブログ

薬師寺近くの小さな本のある喫茶店

薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「川上村の昔話」から
「泣き菜の由来」
その葉にな、粒が一つついとんですわ。あれは特徴や、あれはな。そういうことから、そのことの話、泣き菜に涙が落ちて、葉へたまったというようなことになっとんじゃろ、あれは。なあ。
嫁がないとんですやろうな、姑にいじめられて。それが落ちて葉にかかったのが、ああな玉になったという。ちょっとした玉あるんや、米粒ほどのなあ。
それを、なあ、持て帰って食べるんのやで。
おいしいんやで、あれ。

薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「川上村の昔話」から
「果てしない話」
殿様が退屈して、そしてその、
「わしがもう、もうやめえって言うまで話をつづける者がおったら、ほうびをやろう」ということで、ほいで、誰が話をもってきても話にはしまいがあるんで、それで殿様に気に入られなんで、話が。そしてもう、お前の話はだめや、お前の話はだめやと、もうみな断われて。
ところが、ある男が殿様のところへ行って、
「わたしはもう、殿様がもうええって言うまで話をしましょう」って言うまで話をしましょう」って言うて。そしたら、
「聞かしてくれ」って。ほしたら、
「あるところ大きな樫の木がありました。ほして、その樫の木の下には大きな池がありました。やがて、樫の木に樫の実がなりました。大きな樫の木やから、もう樫の実も何億何万何千ていうくらいの、その、樫の実がなりました。やがて、樫の実が、あの、色づいてきて、そして、落ちだしました。一つの樫の実が落ちて、そして、下の岩に当って、カチンと当って、そして、その池へトボンとはまりました。また一つおちてきては、カッチントボン、カッチントボン・・・」
「もうそのくらいで話をつづいてやれ」ったら、
「いや、これが話のつづきです。なにしろ数えきれん樫の実が落ちてくるんやから」
それで、その、いつまでたってもカッチントッポン、カッチントッポンを言うて、とうとうしまいに、あの、殿様は、
「もうそれでよしや。お前の話はようわかった」っていうことで、ほうびをもろうたっていうようなことを、あの、聞いたことがありますなあ。

薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「川上村の昔話」から
「長い話」
「長い話教えてやろうか」って。
「うん、教えてくれ」ったら、
「天から長いふんどし墜ちてきたんやぞ」っちゅうて

薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「川上村の昔話」から
「綿入れ縫い」
着物の綿入れすんのに、裏縫うて、先着せといて、ほて、今の、またあとから綿着せて、ほいで今度は表着せて、ほいで、
「じいーっとぬげ」ちゅうて言うたって。そねん言うてしとったって。九助とかいうた思たで。
裏先縫うて、着せといてよ、こういう具合に。ほて、それへ向けて、綿着せて、ほて、今度、表縫うたやつ着せて、そのままじいっとぬげて。まあ、あほやさかい。そんなことしたちゅうんやろけどの。そんなこともなっかたんやろうけどの。それが上谷(こうだに)の九助ていう奴や。

薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「川上村の昔話」から
「ヨイショ」のいわれ から
ヨイショという力の強い人がおって、死ぬときに、
「何か力がいるときにはオレの名を呼べ。必ず楽になるさかい。」
ほいで、あるときどえらい材木を引っぱるとき、どうしても動かんわけやな。そのときひょと思い出して、ヨイショという名前を呼んだら動くはずや。
「ヨイショ」と言うたら動いた。