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#大安寺 笹酒
大安寺 光仁会(こうにんえ)

外部資料

桓武天皇が文武百官を引きつれて 平安京より南都に赴き、先帝光仁天皇の御忌を大安寺で営まれたという「続日本記」の故事の恒例として、毎年1月23日に光仁会が行われる。
この法会は、風雅な青竹づくしの祭儀で、”笹酒”の接待が行われ、「大安寺の笹酒」といって近年とみに有名である。法楽は午後一時からはじまり、そのあと光仁会にちなんだ講話があり、つづいて笹酒の接待が始まる。光仁天皇が久しい不遇な白壁王時代に、しばしば大安寺境内の浄竹を伐り林間酒をあたため、無病息災・健康を保たれ、六十二歳で初めて開運、皇位につかれたという寺伝にもとづいて、続けられてきた行事である。
境内のあちこちに焚き火がたかれ、それに青竹の三本足を組み、太い青竹の筋の抜いた竹筒には酒を満たし、底を火につけ、上部を三本足に吊るして酒を暖める。一方参拝者は、小笹の一枝ついた青竹の盃を手に、暖まった筒の酒をこれを注いであるとともに、酒を注ぐときコロコロ・・・コロコロ・・・とちょうど掛け桶の水が桶にしたたるときのような音色を出し、注ぎ終わって竹筒を立てるときは、またゴロゴロ・・・ゴロゴロ・・・と鳴り、その音色はひときわ風雅なものである。そのうえにこの酒は竹の甘味が溶けこんで、実に美味しくまろやはかな風味がただよう。
笹酒はがん封じに薬効があるとされ、「癌封じで名高いの笹酒」ともいわれ、他府県からもこの酒を頂きに参る人が多い。千四百年も昔から中国山西省には竹葉青酒があり、薬種として著名であり、古来漢方薬に竹瀝・竹茹・竹黄など多様に使われているし、現代薬学から見てもビタミンC・K・Eはじめ、カルシウム・クロロフィルを含有しているという。
笹酒接待のかたわら、詩吟、奉詠、俳句、俳画の即席揮毫の催しがあり、風流人がそれぞれ一句一筆をふるう。
なお、笹酒行事は6月23日の竹供養の行事に通じている。この日は古来、”竹酔日”といい芭蕉をはじめ著名な俳人も、竹酔にちなんだ句を詠んでいる。中国でも昔からこの日は竹を植える日とされ、この日に植えた竹は必ず根付いて見事に成長するという。
大安寺では笹酒に多くの竹を使うので、ことに竹供養は丁重に行われる。浄竹を一本切ってきて花を供え、竹藪に撰米を供え五色の切紙をまいて供養する。そして、竹で名高い京都深草の瑞光寺元政庵をはじめ、各地の名竹を二、三本ずつ竹藪に植え、その生育を祈念し、また、茶筅 竹花篭その他竹製品を謹製し、それを奉納する儀礼が行われる。大安寺では故事にちなみ竹を大切にし、笹酒の竹以外は絶対に切らないし、たくさんあがるも筍も禁食する寺風を守っている。
 
「大和の年中行事」からです 初版が1969年発行です
今年も23日 午前8時から午後4時まで行われる予定です



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