「うのん」の気象歳時記ブログ

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「子供のための大和伝説」から
「追付の森」


御所市玉手町、下市街道に沿うた東側、人家のかたわらにある森を追付の森といいます。
むかし、役の行者が十七歳の時、初めて葛城山へ修行のため登山されますと、どこからか、 十五、六歳の少女が現れて行者にたわむれました。行者は手に持っている独鈷杵(どつこしょ)をもって、その少女を打ちますと、その少女を打ちますと、その少女は大いに怒って悪臭を吹きかけました。そして西南の方へ逃げて行きましたので、行者はそれを追いかけて、近づくと、少女は大蛇と化して行者を呑もうとしました。行者も通力自在の身であったので、大蛇に負けることばく、わざと左右へ身をかわして大蛇を追い払われました。それでここを追付の森といい、森の中に追付大明神という神さまをまつってあります。
この因縁によって、御所の鴨の宮の氏子らが祠を造営し、鴨の宮のお旅所となっています。


怪しい少女の化身でである大蛇は、追付の森からさらに西南の方へ逃げて行き、市部村の西の大きな穴の中へすくみました。行者はこれを野口大明神とあがめ、その穴を小石で埋められました。この因縁によって、毎年旧五月五日に御所・さらぎの童子らが寄りあって、小石をもって互いに打ち合いする行事となっています。それで市部村を、のちに蛇穴村と改め、「さらぎ」村といいました。それがいまの蛇穴町の名の由来です。
蛇穴と書いて、さらぎと読むことは大へんむつかしくて、むかしからいろいろ学者の説がありますが、まだはっきりしません。

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