「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「子供のための大和の伝説」から
「牛若丸と棒術(棒術)」

奈良市大柳生の村のはずれ、白砂川のタライガ淵のかたわら、木の繁った下に、平たい石があります。
むかし、常盤御前(ときわごぜん)が、今若丸、乙女若丸のふたりの幼い子供の手を引きながら、この辺までにげてきますと、急に産気づいたが、どこの家も源氏の落人には相手にのってくれません。しかたなしに村はずれのこの平たい石の上まできて、休んでいますと、男の児が生まれました。それが後に源義経になった牛若丸です。常盤御前は、その児をかたわらの淵につれていって、産湯をつかわせました。それからここをタライが淵と名づけられたといいます。
その平たい石は、今も打つと赤児の声がするといわれ、村人はその石を拝んで安産を祈るということです。


柳生藩の棒術長谷川流の祖、長谷川金右衛門が、奈良からの帰りに、大柳生村を通りかかりますと子供の泣き声が夜ふけの山中に聞こえました。
これはどうしたことだろうと、近よって見ると、常盤御前が牛若丸を生みおとして、旅の苦労をしているところでした。それで金右衛門はふびんに思って、親子を柳生の宅に連れて帰り、牛若丸を養育してやりました。
この縁故によって、後に牛若丸が鞍馬山にいた時、金右衛門はかの山で再会し、この棒術を伝えられました。それがこの流儀だといいます。
今も大柳生には、常磐の森があり、産湯の淵などもあります。

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