「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「子供のための大和の伝説」から
「ものいう地蔵と馬に乗る地蔵」

地蔵さんというのは、野の中に立っておられたりして、人々から信仰されてこられたのですが、ものをいったり、いろいろ人間のするようなことをされる地蔵さんもあるといい伝えられています。
奈良市の尼ヶ辻から南へ一㌔余、電車の西の京の東あたりに、もちのき地蔵という地蔵さんがありあす。むかしはそこに、もちの木があったのでこんな名をつけられているのですが、このお地蔵さんは、むかしから、ものいう地蔵さんとして知られています。


むかし、泥棒がこの地蔵さんの前で、ゲラゲラ笑っていました。
そこへ通りかかった、今の刑事さんのような人、むかしは「さる」といいましたが、そのさるが、
「何がそんなにおもしろいのか」
とたずねますと、
「実は、私は泥棒を働いて、ここまできましたが、この地蔵さんは人の言葉がわかると、かねて聞いておりましたので、
『これ地蔵さん、わたしがぬすっとしたことを、だれにもいわずにおいてくだされ』
というと、地蔵さんは、
「わしはいわんが、おまえもいうな」
と答えられました。あまりのおもしろさに、つい笑っているのです。」
といいました。むろん、その男はその場でしばられました。


奈良ホテルの東に子安の地蔵さんがおられます。むかし、堂守のお婆さんが夜中に目をさますと、堂の中がさわがしいので、のぞいて見ると、
「今夜は忙しいこっちゃ。これからお産の手伝いにいかねがならん」
といって、お地蔵さんは白い着物を着、白い馬に乗って、お産婆さんの手伝いにいかれるところでした。

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