「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くから 大和の気象歳時記№86 雨乞の種々相

吉野川分水の水道橋

では川原寺のすぐのところに飛鳥川が流れ高市橋が架かっています。橋に対しやや斜めに吉野川分水(後述)の水道橋が設けられています。大和平野に感慨用水を送る大切な水路で平野の周辺部を歩くと所々で幹線水路にお目にかかる。吉野川分水が送られてくる迄は稲作を始め農作物生育に必要な灌漑用水に随分気を使い様々な工夫や祈祷がされてきました。飛鳥川をとりまく祈雨の神々はすでに述べてきました。高市橋付近から下流においても数々の雨乞方法が行なわれてきています。いずれまたの機会にゆずりたく考えています。
共同祈願となもで踊り
これまで大和の国で農耕農作に必要不可欠な農業用水の確保と慈雨の恵み 祈雨への願望について述べてきました。割愛したものもいくつかありましたが この項は見出しの共同祈願について記していきます。
雨乞の方法は呪法 祈願法のすべての英知を結集して行なわれてきました。雨乞祈願は地域一帯に共通の利害 関心事でその性質上当然そのほとんどが共同祈願でした。一つの集落一つの共同行事と云う意識が強く また長期にわたる場合は交替制で実行されてきました。また雨は 一つの集落 一つの村だけで降るものではないから 数部落 数個村が共同で行なわれるのが一般的でした。
大和布留郷(現天理市)例にとると 天理市石上神宮の氏子地域では北郷二十六箇村 南郷二十箇村 の広い地域の共同でおこないます。旱魃が続くと北郷ではまず桃尾の竜王に詣って雨を祈ります。

南部では竜王山上にある藤井の竜王に詣って雨を祈りました。

それでも効かないときは南北両郷が共同で石上神宮に願をかけました。

願には三つの中から 神意に叶うものをくじをひいて決めます。雨をくだされば それを奉納しますと願をかけました。願の一つになもで踊りと称する念仏踊りがありました。

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