「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「紀州の龍神民話」
狐にだまされた話
今こそ道が、ずっと一筋に車通るようになってますが、昔はここまで来るのに二里ほどあるんですかなあ。その半分はほとんど坂道、下ったり上がったりね。それは小学校を卒業してからやったけどね。湯ノ又に鍛冶屋さんがあって、道具たのまれたのであって、ほいて、こっちから上がって行って、花折りっていうとこで、ずっとだまされたわ。向こう、トボ、トボと火あたるんよ。おかしいな。今ごろな、あがいなところ人行っとるはずじゃが不思議やな、思ってね。ずっとながめておったらね。目ヘッパぬられたんやと思たからね。まてまて、そんな時はな、きまって足もとについとんのじゃっていうさかい座りこめと思てね、ほいて、どっか座りこんで、おのれくそたれ古狐やつ、だますんならだましてみ、わしゃなんじゃぞ、不動さんの守り持ってるから縛ってしもちゅろぞっていう座りこんだ。そしたら、それでも、ずっと、だいぶ向こうへ行くまで火与えてくれたな。とうぞうしまいがた、もう自分の家のほんまぁ近まで行ったときに、狼かいなとおもたんやけど二間ぐらい間置いてヒョイ、ヒョイ、ヒョイと行ったわよ。狼ってそんなに簡単に姿見するかいなとおもったけど、ほんまぁ近の出合のとこまで行ってフワッとどこへ行ったやらわからんよになったな。狼じゃったんか、古狐じゃったんか知らんのやけどね、こうちょっと長いよな尾を振ってな、向こうへ行くのようわからんね。

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