「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くから 大和の気象歳時記№96

吉野分水
 青垣山に囲まれた大和平野は温和な気候に恵まれ 早くから稲作農業が定着し飛鳥時代以来絢爛と文化の華が展いてきました。
 この繁栄を支えるために安定した収穫を確保しより豊かな米作りが必要で 灌漑用水の確保は必須条件でした。
 翻って穀倉地である大和平野の「水」を考えると数多くの支流を集めて流れる大和川は周囲の山は浅く 上流部は急峻の流路は短く 中下流部は緩勾配で土砂が堆積し易い天井川です。平時は渇水気味で度々干害を招き雨が降れば縷々水害が起きました。河川水の取入れも中々思うに任せず池を築き 皿池を掘り かくして井戸さえ設けると云った具合でありました。
 しかし 灌漑用に得られる水量は僅かで小さな水争い 多いな水争いは絶間がありませんでした。そこで考えられるのは 県のほぼ中央部北寄りに流れる吉野川は我が国で最も雨の多い大台ヶ原を源に水量豊かに紀伊平野へと流れ去り大和平野には何の恩恵にも預らず指を喰えて眺める許りでした。

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