81年間の奈良の天気 雷のヘソ 薬師寺近くのうのんから大和の気象歳時記


昔東明寺の境内に一際高い松の木があった。ある夏の午後、トラの皮のパンツをはいて頭に角を生やしたカミナリが、あまりの暑さに耐えかねて入道雲の上から、この松の根元に下りて来て、昼寝ときめこんだ。たまたま庭に出た坊さんが、これを見つけた。
かねてから カミナリがなにより嫌いなこの坊さん、ゴロゴロと鳴り始めるとカヤをつって布団をかぶり、おヘソをたらえないように腹ばいになって震えていたが、この日ばかりは、いつもと違って、木陰に身をかくして、カミナリの寝相をうかがっていた。けれども、カミナリは、高イビキをかいて目を覚ましそうではありません。
坊さんは、だんだん大胆になりとうとういたずらを思い付き、「今日は一つ、カミナリのヘソを取ってやろう。」と、抜き足差し足忍び足、恐る恐る近寄ってイビキをかくたびに大きく上下するおなかの真ん中に厚かましく陣取っている出ベソを、力いっぱいつかんだ。驚いたのはかみなり。寝ぼけ目で何が何やら訳分からず、取る物を取りあえず、太鼓を担いで入道雲の上にかけあがった。
ふと我に返った坊さんの掌中には、でっかいカミナリのヘソが残っていたという。それ以後東明寺の谷間に、カミナリは絶対落ちなくなったそうだ。
「カミナリのヘソ」は乾燥して石の様になって東明寺にある。
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