「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くから 大和の気象歳事記No.302 神無月

正倉院宝物
 宝物は今日までほぼ完全な形で保存されてきた理由の一つに厳重な勅封の制が大きい。次に校倉造りの宝倉という特徴がある。昭和55年3月に刊行された正倉院年報第三号「正倉委9ンの三十年」」サブタイトル=近年の宝物保存関係の事業について=と題して私達が取り組んできた校倉造り宝庫の気象状態調査結果の概略も載っている。昭和24年から始まった調査は宝庫内は爆中、宝庫外は年を通じて行った。中でも昭和30年から翌年にかけて宝庫中での一年間の完全記録に成功し記録紙の分析結果から、従来推測されていた校倉造りの防湿性に加え 現在まで無キズに近い形で保管されていた最も大きな理由は宝物を収納してある杉板製容器「唐櫃」の作用で唐櫃内は庫内の湿度変化より更に小さく 湿度の急変から宝物を護るうえで この唐櫃のような容器を用いることの有効さがあらためて判明した。
 国家珍宝保存の秘けつは 校倉造りの建物に加え唐櫃に守られ毎日行われる曝涼によって 冷たく乾いた自然の大気に触れることによって千数百年の輝きを今も目にすることが出来るのです。

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