「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くから 大和の気象歳時記№64 雨乞の種々相

雨乞と弁財天
広陵町的場の大福寺には十一面観音立像の左右に難陀龍王像と雨童子像が並んでいてこの辺り小雨傾向の土地に適雨をとの思いが込められている様です。
また同寺には「端夢記」が伝えられています。弁財天信仰に関する説話を集め この話の中に「去る弘安九年(1287)七月の頃当国の中をびただしく旱魃して 農夫は鋤をすてて青苗の辺に難を含み 機女手を空の枯たる桑にうれひをいただけり。(中略)雨を祈りけれども 碧浪に雲おさまり日の光いよいよものをこがす間 諸人方角を失ふ処に 或僧龍王出で給ひて此の僧に示して云う。此の程国の中大いに旱魃す。但し当社にして雨を祈り侍らば雨必ず降るべし。我は是天笠無契池より来れりとて夢さめぬ。(下略)」と記載されていて箸尾の里の村人がこの弁財天に祈雨を求め 天女の宝号と心経を唱えると 吉野の弁財天の方角らしいところから黒雲が流されてきて雨が降ったという内容が述べられているのである。(「箸尾満嶋弁財天 端夢記妙」所収)。この説話は 弁財天が龍王であること 弁財天社社前に渕(池と考えられる)があること さらに箸尾弁財天と天河坪内弁財天とが関連深いことを示唆している。
件の弁財天を祀っているのは同町大字弁財天にある櫛玉比女命神社で本殿右方境内地に厳島神社があって桃山期と推定される弁財天 十五童子木像が安置されている。ほかに弁財天の版木も藏している。
櫛玉比女命神社秋祭りには弁財天的場 南 野四文字からそれそれ大きなだんじりが賑やかに宮入りする。祭りとは関係なく旱魃のときにはこのだんじりが同神社に入って鉦や太鼓を打って雨乞い願いかなって雨が降ると提灯を点してそれぞれの在所へ引上げて行くそうです。

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