「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「紀州の龍神民話」
白狸
実際あったという話じゃ。甲斐ノ川の熊という人が、炭焼きをし、うちから嫁さんもつれ子もつれ弟子も一人連れて炭を焼きおった。
それは、大きな炭山じゃが、けど、誰も買う者がない。なぜ、ええ買わんにゃというと青大将がおって騙されるからええ買わん。ほいで、熊という人が、弟子と家内と連れて、ほん安うその山を買うて炭を焼いておったら、よう騙しに来んけど、なっとうど、昼、狸が一匹、うろうろ、うとけて来んやつ、そいつをどつき殺して殺してもうた。その狸をむいてみんなで食べたんや。おいしいというて、ほいたら、みんな中毒して、おくさんと弟子が死んでしもうた。小さい子にゃ食べさせなかったから死なんさんだが、熊も死ななんだ。そいから、その死んだ二人を片付けてじげにいって女の子をやとてきて子守りをさせrた。晩に寝ておったら、山小屋から、開き戸になっておって、その開き戸が、ギーと開くと思いよって、よう見とったら女の人が来とる。よう見りゃ、自分のカカや。そいが灯が明ってないのに、真暗やのに、戸をあけて来とんのがよう分かる。黙って見とったらそいつが子を寝かしとる子供の方の布団へようとむくんに来る。そいが、毎夜来よる。子供を殺しに来んやさか、熊ちゅう男は、もう覚悟決めて、寝まへ何もかも入れて布団をようむくんに来よったやつを、そいつをいきなりどずいて寵の口まで追わえつけて殺した。それもまわりの人が、人殺しやとどっといわれたが、そいつを石でおさえつけて朝見りゃ真白い狸であった。その皮を売ったら八十円、今だったら八十万位か、に売れたそや。

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