「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くの うのん から大和気象歳時記

「春日の森の昔ばなし」から

「芸能のお好きな若宮の神さま」1


若宮の御殿が立派に建ち上がった翌年、保延べ二年から、若宮の”おん祭”が始まります。
当時、諸国に飢饉が続いて人々は大へん苦しんでいました。そこで忠通は豊作を祈り、人々の苦しみを救うために、盛大な若宮の祭礼を計画したのです。まず、毎年の祭の日を、収穫期に当たる九月一七日(現在は一二月十七日)と定め、最初の年には忠通も自から祭に参加するつもりをしていました。
ところが当日になって、急病で出られなくなったので、忠通は無楽に出演する楽人に自らの装束を与えて、これを着てこの日の使いを勧めるよう 代理を頼みました。今日でもおん祭のお渡りに、冠の藤の造花をさし、馬に乗ったこの”日の使”の姿がみられます。
このお渡りは神さまの仮のお宿であるお旅所へお渡りする芸能や武芸の団体の行列ですが、特に芸能は舞楽、神楽 細男 猿楽(能楽) 田楽等いまでは大へん珍しい古典芸能で、当日午後のお旅所祭に引き続いて、夕刻から夜の更けるまで、かがり火をたいて若宮の神さまにその芸が奉納されます。

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