「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くから 大和の気象歳時記№80 雨乞の種々相

飛鳥川をめぐる「水甘雨」への信仰

明日香川 瀨々に王藻に生ひたれど しがらみあれば なびきあわなくに 萬葉集第七 一三八〇

 飛鳥 明日香川 なんと心地よい響きでしょうか。さして変わったこともないどこにでもある普通の里川です が恋と歓び 悲しみが一杯詰まった二十数首にも及ぶ萬葉歌が詠まれ 朝風の地を眺め乍ら飛鳥川を遡のぼって行くと 最も早く文化が展けたと思われる この土地に得も云われぬ感慨が湧いてきます。祝戸から歩いて少しくたびれたかたかと思う辺りから芋峠へは進まず栢森を東に折れて更にすすむと 目の前は竜在峠。竜がいる峠。雨が 水が沢山々々 つまった山が重なっているかの様な竜在峠と対峠する。先程の分岐点から飛鳥川本流の畑谷川に踏みこんで行くと道の下左側に「女渕」があります。滝の落差は5㍍程で 6㍍程の青竹で滝ツボの深さを測ろうとしたが 底にとどかなっかたと云う。この女渕からさらに1.5㎞程遡ると男渕があります。女渕には女神の竜神が 男渕には男神の竜神が住むと云い伝えれ 滝ツボの深さが測り得ないのは 竜宮に通じているからだとの話であった。旱魃の年には下畑は女渕で 上畑は男渕で雨乞をしたと云う 女渕の雨乞は大鼓 鉦を叩き心経をし誦「タンボレ タンボレ雲の零はないかいな 雲に零はないかいな」とはやした。この雨乞は女渕の人達だけでなく 平野部の人も一緒になってお参りにきたという。もう一つ 雨乞方法を選ぶとき木な葉を渕に入れて その葉が渕から浮いてくるかこないかで 日待ちをするか供物などをするかと決めた。そして渕の水をもらって帰り ひでり解消を祈って農作物に零を落として回った。


女渕

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