「うのん」の気象歳時記ブログ

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薬師寺近くから 大和の気象歳時記№75 雨乞の種々相

ダケのぼり
花の季節も了りいよいよ田植仕事の準備にかかる前の一とき家族や親しい人々を誘い合わせ特定の野山や海辺の人達は磯に遊ぶ風習が全国的にあります。

大和では岳のぼり 山登り 野遊びが各所で行なわれてきました。なかでも有名なものの西国三十三所名所図会にも描かれた二上山雄岳にのぼる嶽のぼりがあります。二上山に降った雨が流れ下って田甫をうるおす地域の人達は「嶽の郷」と呼ばれ四月二十三日ダケ山である二上山に寿司を持って登りました。近隣の人達とコミュニケーションが強まりはげしい農作業を控え英気を養う野休みの一日でもありました。今一つ山の神を自らの近くに引き寄せ直会的要素をも含んでいました。嶽の郷の人々は旱の歳には幟(赤色)を持って雨を貰いに登ります。雨乞の山でもありました。「岳の権現さん幟持つてこい雨ふらす」と盆踊歌にも唄われました。
このことも昭和二十年頃まで山頂へ登ることは段々と少なくなり二上山のよく見える丘などに のぼり ご馳走を食べ弁当を楽しみました。ここで私の推論をお許しください。
一般にダケ山と云われる山山の多くは 先の雄雅山や三輪山の様に円錐形の山山です。いまダケ山にのぼる風習があった所をみると吉野郡竜門地方では竜門岳にのぼります。高見山周辺の村々のダケ山は秀麗な高見山に 東山中や都祁村の一部では神野山に登りました。この様にみてくるといずれも円錐形の狐峰は地形地勢的に 流れてきた空気のかたまりが雨となって降り易い所のように思われます。

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